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俺は美咲の頭を後ろから引き寄せてキスをしようとした。
が、
それをなんとか寸前で止める。
「…ヤベえ。する前にちゃんとキャンドルだよな。キャンドル。チューしちゃったら、そのままキャンドル無視して進んじまいそう。」
俺は小物をガシャガシャ突っ込んである缶からライターを出してきた。
キャンドルに火を灯してから部屋の電気を消す。
その瞬間、ギャーギャー喚いていた美咲がその小さな炎にくぎ付けになって黙り込む。
「…キレイだね…。」
「ああ。」
オレンジ色に染まる美咲の顔には温かい影が出来て、美咲の長い睫毛(マツゲ)の影がまばたきするたびに揺れていた。
美咲の首に腕を回し、そのまま引き寄せてキスをした。
小さな炎の前でのそれは、まるで神聖な儀式のように感じて
俺は出来る限り優しく
大切に
その唇に触れた。
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