もう一つの聖夜の奇跡

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帰り道。 クリスマスのイルミネーションの街並みで、若いカップルがそこらじゅうで楽しそうに笑っていた。 中身はプレゼントだろう、ブランド物のそれだけでも高そうな紙袋を提げた二人もたくさん行き交っていた。 その中で、鍋の入った袋を提げる俺たち二人。 でも、美咲の顔はそこら辺のどんな女よりも嬉しそうで、俺の手を握りしめ、足は浮かれてスキップみたいだった。 …鍋、一つでコイツはバカか。 そう思いながら、自分は最高のプレゼントが出来たんじゃないかって、俺の顔もゆるゆるだったかもしれねえ。 初めての感覚を抱きながら、この歳で、らしくもなくクリスマスに胸が躍り始めていた。 途中、食材とケーキを買って、アパートに帰りついた。 冬のアパートは留守にするとすぐに冷える。 「寒ーい。」 「うわ、マジでさみー。」 冷たい室内で交わす言葉も、美咲となら温かく感じてしまうほど、 俺はコイツに惚れていた。
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