章が増える度にP数が増えるのは仕様。【長崎 真弥】01

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 で、何で虐めてたのか聞いてみると『気に入らないからだ』と言ったんだ。  世間体なんかを気にする教師や近所の人からは遅刻なんかが多い涼との付き合いを止めろと頻りに言い寄ってきたり。  クラスの連中なんかは涼に嫌がらせなんかをし始めて、俺からは話し掛け無くなっても涼から話し掛けて来て内心嬉しかったり。  それからもそんなのが続いてクラスや教師、近所からの嫌がらせに遂に涼がブチ切れて、何て言ったかな。  確か『ゥなに俺が真弥のダチなのが羨ましいならこいつとカラオケでも行く仲に成ってから言いに来いやボケぇ!!!!』だったな。  涼はそう言った後迫力を上げる為か塀の一角を1発殴って砕いたんだよな。血だらけにして。  心配に成って病院に連れていこうとしたら『日常的に喧嘩してる手がこんなんで壊れるかっての』と言った。確かこれが初めて全力でツッコミをした瞬間だな。  少しずつ俺の顔に笑みが浮かんでいくのが分かる。前を思い出して楽しかった思いや嬉しかった思い、ムカついた思い。  その想いが軽く蘇って来て、胸が一杯に成って、懐かしくてつい穏やかで優しい気持ちが溢れてきた。  ……ドクン。 「?……今何か、……何だ?」  足を着けて身体を起き上がらせて周りを見る。  特に何かがある訳でも無い、あるのは寧ろ。 「何だったんだ?今の感覚?」  首を傾げながら湯船から出る。  自分の中で何かが大きく成った妙な感覚を覚えながら、俺は風呂場を出た。
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