親父とはかくも大きいものか

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帰らなかったと言っても、生死は確認出来てはいない。報告に来た軍の関係者によると、行方不明だという。 それを知った俺と母さんは最初抜け殻のようになったけど、『行方不明ならどこかで生きているかもしれない』 『現実逃避』と言われるかもしれない。むしろ亡くなっている可能性の方が高い。だけど、その1欠片の希望がその時の俺達には大きな希望に感じたのは確かだった。 それから俺は『親父を探しに行く』と言う目的を抱くようになった。ふとした拍子に帰ってきて、ただいまと言う親父が簡単に想像出来る。 それくらい俺の中では親父は大きな存在だった。 それから少しして俺は家を出る決意をする。と言っても旅に出るわけじゃない。一人旅なんてしたことないし。 その代わり、スレンに声をかけ、話し合い、一緒にレイバーン軍に仕官することにした。軍の任務なら色々な所に行けるし、その先々で親父の情報が得られるかもしれないから。 そう決めた夜、母さんにそのことを話した。当たり前だけど母さんには反対された。そりゃ自分の夫だけでなく、息子まで軍に行くなんて聞いたら気が気じゃないだろう。 だけど、そこは減らず口が自慢の俺。あれやこれや屁理屈を言って言いくるめた。この時程減らず口で良かったと思ったことはない。 翌日、俺は長年住んだ家と大切な母さんに別れを告げ、スレンと共に家を出た。平常時は帰れるとは言え、入ってしばらくは難しいだろうし。 まだ残暑の残る秋口、俺は軍に仕官した。 行方不明の親父を見つけ出し『ただいま』と、笑顔で言うために………………
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