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「オーイ、いいかげん起きたらどうだー?」
鼻をつままれ俺はゆっくりと眼を覚ます……
「……ん……」
「起きたか?」
横に顔を向けると、幼馴染みの祐希(ゆき)の顔……
赤くクセッ毛の髪は先っぽがクルンと内側に向き、耳を隠している。
笑うとホッペが窪む……
小さい頃から変わらないエクボが出る笑顔でこちらを見ていた。
「…………」
ボーと、祐希を見る俺をクスクス笑う……
「起きたかね?寝坊助くん」
ガタン……ゴトン……
席が揺れていた。
「ここは……?」
「汽車の中」
「汽車?」
俺の質問にニコッと笑顔で返す祐希……
外は寒いのか、窓は白く曇っていて何も見えない。
「……………」
まだ頭がボ~としている……
「昔からアンタは低血圧で寝起き弱かったからな~」
「……そう言う祐希は朝からテンション高くて非常に迷惑だったな……」
「ハハハ……そう言うなって、アタシが迎えに行ってやったからアンタ遅刻しないで済んでいたんだからさ。はい、ミカン」
苦笑いで、剥いたミカンを俺に渡してくる。
俺はミカンを受け取ると口に入れる。
「酸っぱ……」
口を×にする俺を祐希は笑う。
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