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「ミカンは酸っぱいのがいいんだよさ~」
「バカ言うな…ミカンは甘いのが良いに決まってる」
俺の言葉に嬉しそうに笑う祐希……
赤いパーカーに青いジーンズ……
髪もショートだから男の子に間違われることも多かった祐希。
「久しぶりに祐希のその格好見るな……」
「あ、この服装?へへへ……アンタ、好きでしょ?ボーイッシュなコ……アンタの初恋の美香ちゃんもボーイッシュだったもんね」
「…………」
突いてほしくないことを突かれ、ブスッとして顔を祐希から背ける。
「あ?怒った?へへへ~ごめんよ~」
「怒ってねーよ」
「ウソ!アンタのことは何でも知ってるんだからね!アタシにウソは通用しないよ!」
ビッ!と俺に向けて人差し指を向ける。
「そう言えば……本当に祐希、俺のウソ見破っていたな……ババ抜きも出来やしなかった」
ガタン……ゴトン……
汽車は揺れる……
窓の下に肘を置き、俺は頬杖をしながら、変わらず見えない外を見ていた。
窓に映る………
隣の祐希を……
「アンタ単純だからね~」
「悪かったな」
「あ、また怒ってる?」
「怒ってねーよ」
祐希のクスクス笑う顔を見ないフリをしながら、窓に映る祐希を見ていた……
いつからだろう……
祐希を幼馴染みではなく……
異性として見るようになったのは……
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