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「アンタね……癖があるんだよ。その癖のせいで何でも解るんだ」
フフン!と腕を小さい胸の前で組む祐希を呆れる……
「どんな癖だよ?」
「おっと!それはまだ秘密!汽車を降りる時に教えてあげるさ!」
パンッ!と俺の背中を叩く祐希……
「痛ぇな~相変わらずバカ力女だな?お前は……」
「昔からケンカしたらアタシの方が強かったからね」
「いつの話だ?5才くらいの話だろうが……」
「当たり前よ。アンタは男の子でアタシはか弱い女の子だったんだから!」
「何がか弱いだよ……」
ハンッ!と鼻で笑いながらも窓に映る祐希から眼を離さない……
「う~寒っ!寒いね~」
身体をブルッと震わせながら俺の手を握ってくる……
思わず顔を祐希に向けてしまう……
「なんだよ?」
「昔はよく手をつないで学校行ったろ?寒い朝なんか手をつないで歩くと少しは温かい気がしてさ……」
「……そうだったか?まあ確かに温かい気するな」
「だろ?だからいいだろ?」
「仕方ねーな~」
「嬉しいくせに」
プッ!と笑う祐希……
クセッ毛の髪……
エクボの出る笑顔…
赤いパーカーに青いジーンズ…
全部……俺が好きな祐希のままだった……
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