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うるさい篠山さんがいて。仲いいですね、って笑うやまぎんがいて。
やっぱりここが一番好きだななんて思ったりして。
「やまぎー!今日ね、みっちーとあの映画見に行ったの!」
「えええ!いいですねー。なんであたしも誘ってくれなかったんですか!」
だってみっちーと見に行きたかったんだもん。
なんのためらいもなく。軽々と。そんなことを言ってしまうれなさんに何度期待したのだろう。
でもきっと本人はなんとも思っていない。超がつく鈍感だから。
「みっちー何食べんのー?」
「俺そんなにいらないから飲み物だけでいい。」
「じゃあさ、半分こしようよ。」
…おいおい。
なんて一瞬ためらったけど。べつに何もないし。俺達の間には。
当たり前に座った2人席。周りからみたらカップルに見えてるだろうか。
幸せに見えてるだろうか。
…これおいしくない。新作のジュースを1口飲んだれなさんは顔をしかめて俺のストローをそのグラスにさす。
「これ!飲んでみ!」
「…篠山さんが見たら勘違いするよ。」
「えー。いいじゃん別に。」
こうやってまた期待させて。受け取ったジュースを飲もうとした瞬間。れなさんの携帯が鳴って。ぱっと明るくなった表情に先輩からのメールなんだなと気付かされる。
先輩の前ではそんな顔するんだな。
愛しいだなんて思える資格。俺にはない。
そう思ったらためらいなんて消えて。一気にジュースを飲み干して。
どう?って聞いたれなさんにまずっ。って言って笑い合って。
あーこの笑顔をそばで見ていたいなあなんて。これからもずっと。
俺達は親友なんだから。
〈親友だから END〉
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