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たぶの友達とさよならを交わして。また歩く帰り道。いまだにたぶは俺のせいにしたいらしくて。
「絶対たつやさんのせい。」
「しつこいなー。違うってんだろー。」
なんとなく。さっきまでの帰り道より暖かい気がして。増した歩きにくさに違和感を覚えて気がついた。
言い合いになった時、押さえ込んだ手がそのままだという事に。
そしてその手をやんわりたぶの手が包んでいるということに。
だけどその手はそのままで。離すのもなんかおかしくて。俺今手汗かいてないかなとか心配になったりして。しばらくそのまま歩いた。
いつもの別れ道。そろそろこの手も離さなきゃいけない。たぶは右に。俺は左に曲がらなきゃいけないのに。
自然な流れで右に曲がる俺。
だって。昨日の帰りは確かたぶが左に曲がったから。今日は俺が遠回り。
お決まりなこの感じにもなんだか慣れてきて。お互い何も言わなくて。繋いだ手もそのままで。
「あたしが手伝ったから終わったんだよー。」
「ああーもうはいはい。あざっすあざっす。」
「なんだよなんだよ。もうちょっと感謝しろよー。」
夜の道のりはまだ長い。
〈遠回りな関係。END〉
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