遠回りな関係。

4/4
前へ
/18ページ
次へ
たぶの友達とさよならを交わして。また歩く帰り道。いまだにたぶは俺のせいにしたいらしくて。 「絶対たつやさんのせい。」 「しつこいなー。違うってんだろー。」 なんとなく。さっきまでの帰り道より暖かい気がして。増した歩きにくさに違和感を覚えて気がついた。 言い合いになった時、押さえ込んだ手がそのままだという事に。 そしてその手をやんわりたぶの手が包んでいるということに。 だけどその手はそのままで。離すのもなんかおかしくて。俺今手汗かいてないかなとか心配になったりして。しばらくそのまま歩いた。 いつもの別れ道。そろそろこの手も離さなきゃいけない。たぶは右に。俺は左に曲がらなきゃいけないのに。 自然な流れで右に曲がる俺。 だって。昨日の帰りは確かたぶが左に曲がったから。今日は俺が遠回り。 お決まりなこの感じにもなんだか慣れてきて。お互い何も言わなくて。繋いだ手もそのままで。 「あたしが手伝ったから終わったんだよー。」 「ああーもうはいはい。あざっすあざっす。」 「なんだよなんだよ。もうちょっと感謝しろよー。」 夜の道のりはまだ長い。 〈遠回りな関係。END〉
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加