バイトと私。

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エスカレーター式で入試もなく楽に入った高校。 見慣れたクラスメイト、見慣れた風景にうんざりした6月。 その日はこの季節には合わない雲ひとつない青空だった。 私はこのまま卒業していくのだろうか。 そう思うと華の高校生活がもったいなくて仕方がなかった。 周りの友達はアルバイトで稼いだお金でどんどん可愛くなっていく。どんどん大人になっていく。 私だけ取り残されたんではないか。そんな錯覚に陥っていた。 「バイトしたいなあ…。」 いつもより少しだけ遠回りして帰るこの道は大好きなアイドルグループのCDの発売日前に寄るお決まりの道。 ふと視界に入った見慣れたコンビニ。そこにたまたま置いてあった求人誌。そこでたまたま見つけたカフェ。 その偶然は、必然だったのかもしれない。
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