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篠山さんが帰ったあとは嵐の過ぎ去ったかのような静けさ。
いつも通りのようでそうでない私たち。なんとなく空いた距離をからかって笑い飛ばしてしまえばいいのに。なぜかそうできない。
こんなに気まずくなるならまだ篠山さんがいてくれた方がよかった。なんてぼーっと考えながら仕込むマヨネーズ。
がたん。
あ、と声を出したときにはもう遅くてマヨネーズはなんとも鈍い音を出しながら周りに多大な被害を加えていた。
「おらたぶ!」
「えーん。おこられたー。」
「かわいくねーよ。」
「たつやさんひっど!」
それでも笑いながら片付けを手伝ってくれるたつやさんに苦笑して。
さっきまでの微妙な気まずい空間はマヨネーズと共に飛び散っていて。私は小さくマヨネーズに感謝した。
なんて言ったらたつやさんにばかにされそうだけど。
隣で必死にマヨネーズと格闘しているたつやさんを見ながら、ふと篠山さんの顔が頭をよぎる。
こんなとこ見たら喜ぶんだろうなー。なんてたぶたつの萌えポイントがちょっとだけ分かった気がした。
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