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「…分かるよ。私も昂くんと再会してから、似たような想いしてたから。」
昔の気持ちに引き戻されて、
何度も泣いた…。
「神戸で飲んだ夜、ひかり…泣いた?」
ビクッと肩が震えてしまった。
これじゃあ、泣きましたって白状したようなものだ。
伺うように昂くんを見ると、哀し気な瞳で私を見つめていた。
「俺のせい、だよな。ごめん。」
眼鏡を指で押し上げて直しながら謝る。
「俺、もう過去を振り返るのはやめるから。ひかりも、昔の俺は見るな。」
何か決意したような、ハッキリした言い方に、戸惑ってしまう。
もう、忘れようってこと?
お互い。
「俺は、今のひかりを知りたいし、今の俺をお前にも見て欲しい。」
……え…?
昂くんの思いがけない言葉に、
俯いていた顔をパッと上げる。
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