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「こ、…有田さん。お、遅いって…。」
待ってたってこと?
なんで?
頭に疑問符を浮かべてるのが見てとれたのか、昂くんは、ふー、と息を吐いてこっちに近寄ってきた。
「高梨の手品始まって15分は経ってるぞ。少しくらい見てやれよ。結構すごいのな、あいつ。」
フッ、と笑って私を先に行かせようと背中を軽く押してくる。
…なんだ、それか。
わざわざ待ってたくらいだから、何か話があるのかなって考えが頭をよぎってしまって。
ムダに緊張しちゃったな、なんて思っていたら。
「社会人になっても、同じなんだな。」
「え?」
「姐御肌。相変わらず年下キラーなんだな、と思って。」
クスクス笑うので、足を止める。
「キラーって…。そんなことないよ。」
何の話かと思えばさっきの。
「いいや?ひか…じゃなかった、桃瀬、高校の頃、一年の男子から人気あったもん。」
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