3. 嵐のような夜

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「え~?そんなことないと思いますがー?」 記憶を遡って見ても、後輩から告られたなんて1人位じゃなかったかな。 「キミが知らないだけ。俺結構、牽制してたの、気づかなかった?」 …え。そんなこと、してた、の? 「…気づかなかった、です。」 驚きのあまり、口をポカン、と開けて見つめてしまう。 「やっぱりな。桃瀬は自分のことには鈍いから。」 私の頭をクシャクシャっと大きな手で撫で回して、 そのままコツン、と小突かれる。 ムーっと、昂くんを軽く睨みつけると、 「…何か、懐かしいな…。」 ボソッと、少し照れたように呟いて、私を優しく見つめてくる。 が、すぐ目線を逸らし、歓迎会をしている元の個室へと足を向けた。 私は、それを追った。 …懐かしい、かぁ。 確かに、私達2人を囲む空気だけは、10年前のまま。 タイムスリップでもしたかのように、あの頃の気持ちまで、ちょっとずつ蘇ってきてしまう。 参る、なぁ…。 はぁ、と再びため息をつきながら、元の席につく。 高梨の手品は終わってしまっていたけど、好評だったようで、タネについて議論が交わされていた。 その傍らで、 先程、昂くんのメガネがイイ!! と褒めちぎっていた後輩のサエちゃんが、 昂くんの隣に座って距離を詰め、プライベート情報を更に聞き出そうとしているのが耳に入ってきた。
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