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いつもの店で飲み始めて、1時間が経つ頃。
携帯の着信が鳴り響く。
高梨だ。
「はぁい。」
『…何、マヌケな声出してんの?』
1人で中ジョッキ二杯を飲んだ後なので、妙にハイになっていたらしい。
『今から行くから、30分位で着くから。分かった?』
「はいはーい。待ってるって!」
上機嫌に返事をして、電話を切った。
あいつ、一応幹事なのによく抜けれたな、なんて思いながら。
サラダを口に含み、三杯目のビールを飲み終わる頃、店の扉が開いて高梨が入ってきたのが見えた。
こっち、と手招きして高梨を呼ぶ。
急いで来てくれたのか、どことなく呼吸が乱れている。
「お疲れ。大丈夫?息切れてない?」
言いながら、生でいい?と確認し、店員さんに高梨の分と、自分の分も注文する。
スーツの上着を脱ぎながら、
高梨は、だって、と続ける。
「なーんか、ひかりさん、今日おかしいから。オレが行くまでホントに待っててくれるかなぁ、と思ったら勝手に早足になっちゃったよ。」
席について、はー、とうなだれる。
すぐ生ビールが届き、乾杯をすると、すかさず聞かれた。
「それ、何杯目?」
「…4杯目かな?」
「ペース早くない?」
「気のせいじゃなーい?」
ニッコリして答えると、それ以上聞いてもムダと悟ったのか、
高梨はため息をついてゴクゴクとビールを喉に流し込んで行く。
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