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神谷さんとの生活は順調だった。
このまま、なんとなく1年を過ごして、そして他人になる。
生活費はすべて神谷さんの負担だから、わたしが仕事を辞めさえしなければ貯金も出来る。
心配の種だった真美子さんも今は大人しくしているし。
1年後には香織も大学生になって。
何もかも、予定通りに進んでいる。
……そう、予定通り。
「痛ッ」
手元を見ると、左手の人差し指から血が滲んでいた。
料理中に考え事なんてするんじゃなかった。
料理の腕は相変わらずだけど、こればっかりは、センスが必要なんだろうなと思う。
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