12895人が本棚に入れています
本棚に追加
/587ページ
いつかプレゼントしてくれた黒のワンピースを着てレストランへ向かう。
髪の毛は真美子さんと香織でアップにしてもらった。
メイクは自分で簡単に、アイラインと唇にはシャネルの84番を。
「お姉ちゃん、綺麗」
「麻美ちゃん、恋する女はいつでも無敵よ」
そんな言葉を背中で聞きながら、わたしの気持ちは神谷さんに向けて走り出していた。
タクシーでレストランに乗りつけて、降りるなり階段を駆け上がる。
慌てるあまり、石畳にヒールを引っ掛けて転びそうになって。
こんな時も、落ち着きがない自分にがっかりするけれど。
それよりも何よりも
早く、会いたい
夢にも見た、あの人に
最初のコメントを投稿しよう!