10.

41/44
12895人が本棚に入れています
本棚に追加
/587ページ
   いつかプレゼントしてくれた黒のワンピースを着てレストランへ向かう。 髪の毛は真美子さんと香織でアップにしてもらった。 メイクは自分で簡単に、アイラインと唇にはシャネルの84番を。 「お姉ちゃん、綺麗」 「麻美ちゃん、恋する女はいつでも無敵よ」 そんな言葉を背中で聞きながら、わたしの気持ちは神谷さんに向けて走り出していた。 タクシーでレストランに乗りつけて、降りるなり階段を駆け上がる。 慌てるあまり、石畳にヒールを引っ掛けて転びそうになって。 こんな時も、落ち着きがない自分にがっかりするけれど。 それよりも何よりも 早く、会いたい 夢にも見た、あの人に
/587ページ

最初のコメントを投稿しよう!