いざ、珍道中。

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 こうして始まった真之の武者修行。 真之は初めのうち、木更津でもいじめられたら…と、心配で心配で仕方がなかった。 だが武者修業が始まるなり、それが取り越し苦労であった事を知る。 なぜなら平八郎は既に近所のがき大将の座に在り、真之をそのがき大将の弟分と知っていじめるような者は、平八郎の近所にはまずいなかったのだ。 ましてや平八郎は、地元の網元の倅なのである。 だが… 「兄ちゃん…僕なんだかつまんないよ」 真之がそう言ったのは、夏休みが始まって10日程過ぎた頃である。 「何故じゃ真之? 怒らぬから訳を申してみよ」 さも意外そうに尋ねた平八郎に、真之は頬を膨らませながらこう言ったのであった。 「みんな二口目には平八郎君の従弟平八郎君の従弟って… 僕は確かに弱虫だけど、兄ちゃんを用心棒にしているみたいでいやだ!」 (ほう…) 真之の言葉に内心とても感心する平八郎。やがてその顔に、それでこそ真之といいたげな微笑が燈る。 一方の真之は、まるで鉄砲水のような勢いで言葉を続けた。
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