赤と白

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目を覚ますと、あの声は消えていた。 視界も元にもどっている。 いったいなんだったんだろう。 まるで…、血。 血が目に入ったみたいに、見えた。 幻覚…。か。 一瞬、何かが見えた気がした。 思い出せない。 私はただ、重い足を前へと運ぶ。 そうしないといけない。 彼女に謝らないといけない。 逃げて、生きよう。 頭は全く働かない。 痛覚なんてとっくにうしなった。 血の涙が頬を伝って、視界が失われていたことにも、気づかずに。 ただ進み続ける。
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