0章・別れの時

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いつものようにアクイラは3つ下の妹と遊んで1日を過ごしていた。 その日は本当に平凡で平和な1日だった。 しかし、天気は急変し、村に太陽の光が差し込んで来なくなった。 狩りに行っていた人たちもぞろぞろと帰って来た。 天気が悪いと狩りが難航するからだ。 「アクイラ、フェラー。 こっちへ来てちょうだい」 祖母に呼ばれ、アクイラと妹・フェラーは祖母の近くへ寄った。 祖母の手には小さな縦笛があった。 笛を口につけ、ふーっと息を流し込んだ。 とても澄んで綺麗な音。 天気の悪い日はいつもこの笛を吹いて雲が通り過ぎるのを待つ。 だが、今日の雲は多くなっていくばかり。 減って行く気配が一向にしない。 祖母は吹くのをやめ、揺り椅子から立ち上がった。 「絶対にその場から一歩たりとも動くんじゃないよ。 少し外の様子を見て来るから」
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