0章・別れの時

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祖母は弱々しい声で言った。 「わたしはまだ使命を果たしていない」 ヘルメスは「違う」と首を横に振った。 「あんたはとっくに使命を果たしている。 自分の使命を忘れたというのか? 7年もの間、あんたはアクイラを護って来た。 あんたの力はもう少ししか残っていないはずだ。 その少しの力では天からアクイラを護ることはできない。 自分でも気づいていたはずだ。 もう限界だと」 「…あぁ、そうさ。 わたしにはもうあの子を護ってやれるほどの力は残っていない。 けど、わたしはあの子に本物の愛情を注いで護ってきた。 そう簡単には手放せない」
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