0章・別れの時

7/8
前へ
/8ページ
次へ
「この人と共にみんなが幸せに暮らせる毎日をつくるから。 今までありがとう」 アクイラは今までにない最高の笑顔で8年共に暮らしてきた祖母に別れを告げた。 そのまま祖母に背を向けて歩き出した。 泣き崩れる祖母を見ずに。 祖母は精一杯の声を出して叫んだ。 たった一言。 「いってらっしゃい」と。 祖母の声にアクイラは震えた声で「いってきます」と答えた。 ヘルメスは祖母に何か言おうとしたが、祖母が先に言葉を発した。 「あんたの言いたいことは分かっているよ、ヘルメス。 大丈夫。 もう2度とアクイラが戻ってこないのは分かっているから。 だけどね。 あぁでも言っておかないと、やっていけない気がしたんだ」 「…………長く、一緒に居すぎたな」 「そうだね。 長く居すぎた。 そろそろアクイラの元に行ってやんな。 あの子、あぁ見えて結構寂しがり屋だから」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加