0章・別れの時

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ヘルメスは背を向け、祖母に何かを告げて去った。 その言葉は祖母の耳には届かなかった。 「なにか言って気がするけどいいか」 祖母は立ちあがり、家へ戻ろうとした時、 「『戻って来ないのではなく、戻って来れないのだ』ってさっきの人が言ってたよ」 ドアの隙間からフェラーが言った。 祖母はドアを開け、フェラーを優しく包み込んだ。 「ねぇ、おばあちゃん。 おねえちゃんはどこ?」 「アクイラはお出かけよ。 2人で帰って来るのを待ちましょう」 そう言って祖母は家の中へ入って行った。
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