緋の桜~清姫狂乱~

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 我が恋憎し、我が恋愛し  今だけは緋色に燃えよ  散り逝く桜 「清姫様、今日も殿方からの恋文がこんなに」  侍女の露草が文箱を両手に抱えて嬉しそうに運んできた。 「…見たくもない。焼いて捨てておしまい」  露骨に嫌な顔をして、文箱を一瞥し、清姫はふいと顔を反らす。 「はい。もったいない気もいたしますが…姫様がそうおっしゃるのなら」  
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