緋の桜~清姫狂乱~

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 露草が肩を落とし、文箱を片付けようとしたところに、清姫の乳母の藤岡がやって来た。 「姫様、殿がお帰りですよ」 「父上が!?」  清姫は目を輝かせ、笑みを浮かべた。 「清姫、息災にしておったか?」  江戸からの参勤交代から戻った、仁左衛門が現れ、清姫に訊ねる。 「父上!お帰りなさいませ」 「その様子だと元気だったようだな。安心した」  仁左衛門は座し、清姫の顔を見つめ微笑む。 「親の私が言うのもおかしいが、そなたはますます美しゅうなったな」
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