1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ…起きた。おはよう。」
「おはよう。起こしてくれてありがとう。」
「おう。」
天城がわたしのことを…。いや、そんなはずはない。
夢だったのかもしれない。
「ねぇ天城…。」
「ん?」
「もしかしてわたしを起こすとき、わたしを…
杏って呼んだ?」
そう。わたしには、天城がわたしのことを杏って呼んだように聞こえたのだ。
「ねぇ天城…呼んだ…?」
もう一度聞く。
でも、天城は表情を変えずにこっちを見ている。
もし、それが本当ならすごく嬉しい。
誰もわたしを杏って呼ばないから。
林檎でさえ、めったに呼ばない。
いつも『なな』か『七田』だ。
しかも、みんな。
さすがに親や親戚は杏って呼ぶけど…。
最初のコメントを投稿しよう!