おやすみ

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「あ…起きた。おはよう。」 「おはよう。起こしてくれてありがとう。」 「おう。」 天城がわたしのことを…。いや、そんなはずはない。 夢だったのかもしれない。 「ねぇ天城…。」 「ん?」 「もしかしてわたしを起こすとき、わたしを… 杏って呼んだ?」 そう。わたしには、天城がわたしのことを杏って呼んだように聞こえたのだ。 「ねぇ天城…呼んだ…?」 もう一度聞く。 でも、天城は表情を変えずにこっちを見ている。 もし、それが本当ならすごく嬉しい。 誰もわたしを杏って呼ばないから。 林檎でさえ、めったに呼ばない。 いつも『なな』か『七田』だ。 しかも、みんな。 さすがに親や親戚は杏って呼ぶけど…。
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