夏企画~Case.1~

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そんな彼女を止めることが出来る大人は、既にいなかった。 実の両親は、彼女を溺愛していて問題外。 周りの大人たちは、彼女の両親の力を恐れ。 当然、そんな大人たちを見ている子どもたちも、彼女の言うことを聞くしかなかった。 そんな彼女の前に現れた、華子さん。 華子さんは、梅子さんにとって邪魔者でしかなかったんだ。 自分が1番、って思っていた梅子さんだったけど、それ以上の華子さんが現れた。 梅子さんの地位を脅かす存在。 彼女の取り巻きも、華子さんに好意的で。 梅子さんの我儘にほとほと呆れていた取り巻きは、徐々に梅子さんから離れていく。 優しい華子さんは、学園の人気者。 梅子さんは「今までずっと私が1番だったのに。なんで皆、あんな奴にちやほやするの?あそこにいるのは私なはずなのに!!」と思うようになった。 それは、梅子さんの普段の態度を見れば当然の反応だったんだけど、梅子さんはそれに気付かなかった。 いや、それを認めなかったんだ。 そして、梅子さんは思った。 「あぁ、そうか。華子がいなくなれば、皆、私のところに戻ってくる。じゃあ、華子を隠しちゃえばいいんだ」 夏休みに入る前日。 終業式も終わり、生徒は帰宅したため校舎内は閑散としていた。 そんな中、梅子さんは華子さんを呼び出した。 そこは、校舎の3階の女子トイレ。 傍にあるのは特別教室で、元々人気はない場所だった。 「どうしたの?梅子さん」 梅子さんの目の前には、可愛らしく小首を傾げ、梅子さんの様子を伺う華子さん。 そんな仕草にさえ、梅子さんはイラついて。 「ねぇ。あんたなんなの」 「…え?」 「あんたがいるせいで、誰も私を見ないわ。今までずっと、皆、私を1番にしてくれていた!!」 「あの、梅子さん…?」 「うるさい!喋るな!!あんたの声なんか聞きたくない!!姿だって見るのも嫌なのよ!!」 「きゃっ!!」 「もう…もう私の前に出てくるのは許さない!!」 梅子さんはそういうと、華子さんを突き飛ばした。 奥から2つ目の、トイレの個室の中へ。
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