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そんな彼女を止めることが出来る大人は、既にいなかった。
実の両親は、彼女を溺愛していて問題外。
周りの大人たちは、彼女の両親の力を恐れ。
当然、そんな大人たちを見ている子どもたちも、彼女の言うことを聞くしかなかった。
そんな彼女の前に現れた、華子さん。
華子さんは、梅子さんにとって邪魔者でしかなかったんだ。
自分が1番、って思っていた梅子さんだったけど、それ以上の華子さんが現れた。
梅子さんの地位を脅かす存在。
彼女の取り巻きも、華子さんに好意的で。
梅子さんの我儘にほとほと呆れていた取り巻きは、徐々に梅子さんから離れていく。
優しい華子さんは、学園の人気者。
梅子さんは「今までずっと私が1番だったのに。なんで皆、あんな奴にちやほやするの?あそこにいるのは私なはずなのに!!」と思うようになった。
それは、梅子さんの普段の態度を見れば当然の反応だったんだけど、梅子さんはそれに気付かなかった。
いや、それを認めなかったんだ。
そして、梅子さんは思った。
「あぁ、そうか。華子がいなくなれば、皆、私のところに戻ってくる。じゃあ、華子を隠しちゃえばいいんだ」
夏休みに入る前日。
終業式も終わり、生徒は帰宅したため校舎内は閑散としていた。
そんな中、梅子さんは華子さんを呼び出した。
そこは、校舎の3階の女子トイレ。
傍にあるのは特別教室で、元々人気はない場所だった。
「どうしたの?梅子さん」
梅子さんの目の前には、可愛らしく小首を傾げ、梅子さんの様子を伺う華子さん。
そんな仕草にさえ、梅子さんはイラついて。
「ねぇ。あんたなんなの」
「…え?」
「あんたがいるせいで、誰も私を見ないわ。今までずっと、皆、私を1番にしてくれていた!!」
「あの、梅子さん…?」
「うるさい!喋るな!!あんたの声なんか聞きたくない!!姿だって見るのも嫌なのよ!!」
「きゃっ!!」
「もう…もう私の前に出てくるのは許さない!!」
梅子さんはそういうと、華子さんを突き飛ばした。
奥から2つ目の、トイレの個室の中へ。
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