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華子さんは貧しい家庭で育って、でも元々頭がよかったんだな。
学園への入学を推薦してもらえて、無事合格。
学費の支払は正直きつかったけど、両親はすごく喜んで華子さんを学園へ送り出した。
皆で助け合おう、そんな家庭で育った華子さんはとても優しい、気遣いの出来る人だった。
学費の支払を助けるため、学園に掛け合い、今でいうバイトを特別に許してもらっていた。
もちろん、学業も疎かにはしない。
バイトを続けながら、成績も常に上位に保ち続ける。
それはとても大変なことだったけど、華子さんはめげなかった。
両親に楽をさせてやりたい。
学園で学んで、そこからいいところへ就職出来れば、家族の暮らしは今まで以上にずっと楽になる。
それを心の支えにして、バイトに勉強に忙しい日々を送っていた。
そんな頑張り屋の華子さんは、クラスメイトにも好かれていた。
何より、華子さんはその学年、いや、学園一美しかった。
優しくて、気遣いが出来て、頭もよくて、美しい。
この世に存在するのか?と疑問になるくらい、完璧な女の子だったんだ。
だけど。
完璧すぎる人、というのは色んな悪意に晒され易い。
それは、華子さんも同じだった。
華子さんのクラスメイトに、梅子さん、という女の子がいた。
梅子さんは名家の生まれ。
金持ちで、名声もあって。
幼い頃から両親を始め、周りの大人たちから溺愛され、甘やかされて育ってきた。
「お前が、この世界で1番可愛い」
「あなたは、他の子と違って1番お利口さんね」
望むものはすぐに与えられ、嫌なことは嫌だと言えば、周りがなんとかしてくれる。
自分がやりたくないことは、全部人がやってくれる。
自分が欲しいものは、全部自分の手に入る。
そう覚えた子供は、大きくなり。
他の同年代の子供たちと接するようになると、その子たちは梅子さんを1番に優先する。
それはもちろん、自身の親から、「梅子さんが嫌がることはしてはいけないよ」と言い聞かせられていたから。
でも、梅子さんは自分が皆に好かれている。
自分が1番すごいんだ、と思うようになったんだ。
我儘な王女様の誕生さ。
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