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華子さんは急なことに驚いて、抵抗出来ないままに個室の中に倒れこんでしまった。
その姿を見た梅子さんは、にたり、と笑みを浮かべ個室の扉を閉めた。
その個室は、外から手前に引くと開く扉。
梅子さんは力いっぱい扉を押し閉め、あるものを取り出した。
カンカンカンカン!!!
閑散とした校舎内に響く、甲高い、何かを打ち付ける音。
「えっ!!梅子さん!!え、嘘。開かない…。梅子さん、開けて!!」
突き飛ばされた華子さんは、急いで扉にとりつくが、押してもビクともしない。
さ、と顔を青くする華子さん。
そう。
華子さんは梅子さんに、トイレの個室に閉じ込められてしまったんだ。
その扉は釘で固定され、その個室を1つの箱にした。
釘は梅子さんの気持ちを表すように、扉に突き刺さっていた。
華子さんへの敵意。
…殺意。
それは華子さんへと向き、突き刺さる。
「…気が向けば出してあげるわ!!しばらくそこで反省していることね!!」
す、と晴れた心。
あぁ、これで私はまた1番になれる。
皆の中心になれる!
なんて素晴らしいの!!
梅子さんはそう言い捨て、気分よく、高らかに笑いながらトイレを後にした。
その後ろでは、華子さんのすすり泣く声が響いていた。
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