350人が本棚に入れています
本棚に追加
扉に打ちつけられていた釘を抜き、その扉を開ける。
中には…。
「うっ!!」
「む、無理っ!」
そう言って、その場を急いで離れる教師。
少し遠くに、何かを吐きだしている音が響いていた。
…無理もなかったんだ。
その個室は、華子さんが閉じ込められ、放置されていた場所。
そこには、変わり果てた姿の華子さんがいた。
彼女は個室の中で事切れ、その身を夏の暑さに蝕まれていた。
艶やかで、綺麗な黒髪は乱れ、その輝きを失って久しく。
すらりとした肢体は、無残に床に転がり、ぐずぐずと解けた(ほどけた)肉の隙間から骨を覗かせて。
可憐で美しく、生き生きとした表情を浮かべていた顔は、言葉では言い表せないほど崩れていて。
そんな中でも、深く暗い憎しみを湛えていて。
そこに居合わせた大人たちは、茫然と立ち尽くすことしか出来なかった。
華子さんの悲報を知った家族は悲嘆に暮れ、心労を募らせ、その地を離れた。
その後、華子さんを閉じ込めたのが梅子さんだったということが判明し、彼女は囚われた。
梅子さんの両親に雇われた弁護士が、囚われた梅子さんに問いかけるが、反応は鈍い。
いや、鈍い訳ではなかった。
「…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
延々と繰り返すその言葉。
梅子さんは繰り返す。
「閉じ込めてごめんなさい来ないで来ないで来ないで来ないでそんな汚らしい手で私に触らないで…っ!!ごめんなさいごめんなさい許して下さいもういや―――――――――っ!!!!!」
時折叫びながら、ひたすら謝罪を繰り返す。
しばらくして…梅子さんは精神に異常をきたし、暗い壁に囲まれ、檻に阻まれた小さな部屋で、自らその命を絶った。
最初のコメントを投稿しよう!