プロローグ

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ピー、ピー、ピー 岩倉家の朝は、いつもこの電子音ではじまる。 「35・8度」 岩倉眞知は携帯に体温を記録する。 「よし、排卵日だ!」 独り言を呟き、布団からはい出る。 二月の朝のツンと冷たい空気に急いでガウンをはおる。 が、陽射しはサンサンとカーテンに降り注ぎはじめてる。 隣の剛を起こさないよう、静かに寝室をでる。 「まだ6時じゃないか…うるさいなあ…」 あまり朝の得意でない剛が布団の中で不機嫌に寝返りをうつ。
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