プロローグ

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その日私は死のうとした 駅のホーム 駅員さんのアナウンス [まもなく、2番線に電車が参ります。危ないですので、黄色い線の内側までお下がりください] 黄色い線より外側に立つ 遠くから電車の先頭が見えてくる 飛び降りるまでの間、 両親への感謝と謝罪を 心の中でする 私は今日 死ぬんだ。 『ねえ』 突然、左隣から声がして、 びっくりして隣を見る。 いつの間にか隣に セーラー服を着た 同世代ぐらいの女の子がいた。 『ねえ、あんた、死ぬの?』 「…えっ……え…えと…」 いきなりの問いかけに どもってしまった。 そして目の前を 通過する電車。 『自殺するほどの勇気があるなら、生きなさいよ』 私の隣に立っている女の子の視線は まっすぐと、私に向いていた。
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