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「おまえ達には、それぞれに秀でた良いところがあり、それが魅力となっている。だからいつも頭を悩ませ決めかねるんだよ。一人一人が俺には、いとうつくしだ」
五人の少年達は頬を染め恥ずかしそう顔を見合わせた。
「よし、今宵は思いきって五人皆で楽しもうか?新しい試みで良いかもしれん」
楽しそうな親王に比べ、少年達は期待と戸惑いの表情でちらりちらりと様子を伺っている。
「少し、お戯れが過ぎますぞ…親王様」
静かに几帳が避けられ、その向こうに親王より少し年上の武官束帯の男性、近衛少将が立っていた。
「おぬしか…で、何用か?」
「皆が捜しております。今すぐおいでくださいませ」
少将は腰を降ろし頭を下げる。
「嫌だね!面倒くさ~い。俺なんかいなくたって勝手に決めちまうんだから…どうせ…嫌だって言ったって…」
親王は目を伏せ扇を口にあてた。
「失礼します」
少将はずいっと前に進み、親王を軽々と肩に担いだ。
「なっ…下ろせ!何をするか」
「参りましょう。それとも稚児と違わぬよう、尻でも叩いてお連れする方がお好みでしょうか?」
「尻ぃぃ?わか…わかったから…行くから、下ろせ!」
少年達が呆気に取られる中、顔を真っ赤にした親王は肩より下ろされ、扇で顔を隠し少将を従え部屋より出ていった。
「あの少将様にはいつも頭が上がらないね」
「親王様は少将様にはねぢけたる方だよね」
「でも、少将様のあのうるはしのかたちは、いつ見ても…」
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