゚**やんごとなき姫君の雛祭り**゚

3/9
前へ
/10ページ
次へ
「おまえ達には、それぞれに秀でた良いところがあり、それが魅力となっている。だからいつも頭を悩ませ決めかねるんだよ。一人一人が俺には、いとうつくしだ」 五人の少年達は頬を染め恥ずかしそう顔を見合わせた。 「よし、今宵は思いきって五人皆で楽しもうか?新しい試みで良いかもしれん」 楽しそうな親王に比べ、少年達は期待と戸惑いの表情でちらりちらりと様子を伺っている。 「少し、お戯れが過ぎますぞ…親王様」 静かに几帳が避けられ、その向こうに親王より少し年上の武官束帯の男性、近衛少将が立っていた。 「おぬしか…で、何用か?」 「皆が捜しております。今すぐおいでくださいませ」 少将は腰を降ろし頭を下げる。 「嫌だね!面倒くさ~い。俺なんかいなくたって勝手に決めちまうんだから…どうせ…嫌だって言ったって…」 親王は目を伏せ扇を口にあてた。 「失礼します」 少将はずいっと前に進み、親王を軽々と肩に担いだ。 「なっ…下ろせ!何をするか」 「参りましょう。それとも稚児と違わぬよう、尻でも叩いてお連れする方がお好みでしょうか?」 「尻ぃぃ?わか…わかったから…行くから、下ろせ!」 少年達が呆気に取られる中、顔を真っ赤にした親王は肩より下ろされ、扇で顔を隠し少将を従え部屋より出ていった。 「あの少将様にはいつも頭が上がらないね」 「親王様は少将様にはねぢけたる方だよね」 「でも、少将様のあのうるはしのかたちは、いつ見ても…」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加