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「疲れた…」
やっと話がまとまり、親王はうんざりした顔で息を吐く。
「それでは、私は失礼いたします」
皆が去った後、少将は頭を下げ立ち上がろうとした。
「少将…」
「はい?」
「おぬしは…俺がこのまま……」
親王は頼りなげな目で少将を見る。
「いや…何でもない……。もうよい…下がれ」
「はい」
立ち去る少将の後ろ姿を見ながら、親王は切なげにため息を吐く。
「どんなに望んでも…叶わぬものもある」
親王は苦しげに扇の要を握りしめた。
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