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時の流れは止められず……
「いよいよ明日…」
釣殿で親王は一人ぼんやり月を眺め呟いた。
「ここにおいででございましたか。明日は…」
「少将…明日は頼む…」
少将の言葉を遮るように発し、哀しげに微笑む姿が今宵の朧月のようで…
何も言わずち去ろうとする少将の背中に、親王は声を出す。
「『照りもせず
曇りも 果てぬ
春の夜の
朧月夜に
しくものぞなき』」
「ええ…今宵はまことに、可惜夜でございます」
少将は振り返りうっすらと笑う。
「『深き夜の
あはれを知るも
入る月の
おぼろけならぬ
契りとぞ思ふ』」
「親王…様?」
「今宵だけ…今宵だけ…」
親王は駆け出し少将にしがみつく。
「今宵だけ…叶えてはくれぬか?」
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6……あるレディ向け(私?って思ったら挙手)
7……純愛?
8……片想い?
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