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「あれで…本当によろしかったのでしょうか?」
少将はこれから親王の随身として赴く。
「昨夜の親王との目合いで、さすがに情が移ったか?」
おとなしく髭をたくわえた近衛中将が、少し背の高い少将を見上げた。
「そのようなことは…」
「親王様はずっとおぬしを想っておった…。あの視線の先に、いつもおぬしが……あっ…人が来るであろう」
少将は背後より中将を抱き締めた。
「夕べは…此度のこと、ご自分でお考えになったとは言え…ずっと私を想うてくださっていたのですか?目が赤うございます…」
少将はまわした手で中将の頬を撫でる。
「終わったら……」
「ええ、貴方様とともに…空の鏡を眺めましょう…」
中将は頬を撫でる少将の手に手を添える。
「ともに…明星までも…」
「はい。ずっと…」
見上げる中将に、少将は軽く口づけをした。
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