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体育館は近かったようですぐに着いた。
「ありがとうございます。助かりました」
「ふふ、どういたしまして。座る椅子は決まっているから、分からなかったら中にいる先生に聞いてみて」
先生はそう言うと体育館へと入っていった。さて、僕も入りますか。
人が少ないからスムーズに中に入ることができた。すでに半分以上の椅子が埋まっていて、話している人も多いので騒がしい。
それはそうと椅子が決まっているんだった。どこかに書いてあるのかな?
「君、こっちだ」
男の人の声がしたからそっちを見てみる。どうやらあの先生が椅子の場所を書いたプリントを配っているようだ。
お礼を言いながら一枚プリントを貰う。字が小さくて見にくいな…
なんとか自分の座る椅子を見つけて座ることができた。あと何分くらいで入学式は始まるのかな?
「よう」
「ん?」
前に座っている人が振り向いてきて声を掛けてきた。えっと、プリントには立野 弘と書いてあったかな。読み方は”たつの こう”だった気がする。
「俺は立野っていうんだ。お前は闇咲で合ってるか?」
「闇咲で合ってるよ」
どうやら僕の記憶通りでもあったようだ。
「闇咲…光か。名前に闇と光が入ってるなんて変わってるな」
「…まあ、そうだね」
やみざき ひかる。たぶん、この名前の人は日本で僕だけじゃあないかな?どうでもいいけど。
「担任の顔を見たか?スゲー普通だぜ」
「ん?」
僕たちが座っている椅子の列の前に男の人が立っている。まあ、特徴を挙げろと言われたら一つや二つくらいしか思い浮かばない人だね。
というか、立野君は僕に用でもあるのだろうか。
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