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やっぱり制服に着替えてから逸樹姉さんを訪ねることにした。さすがにパジャマ姿でうろつくのはだらしない。
で、今はドアのチャイムを押したところ。起きていればすぐに逸樹姉さんの声が聞こえてくると思うけど。
「誰だ?」
ほら来た。いつも通り早起きをしているみたいで助かった。
「僕です」
わざわざ名前を言わなくても、声くらい覚えてくれているはず。そんなことを思っていると「なんだ少年か」という言葉と共にドアが開かれた。
「おはようございます。逸樹姉さん」
「おはよう」
逸樹姉さんは僕のことを少年と呼ぶ。身長は低い方だけれど、昔から少年と呼んでいるのが定着しているだけだと思う。
「どうした?制服姿ということは今日から学校だろう?」
「時間の事なら大丈夫なのですが、朝から困ったことが…」
「花織の事か?」
おお、さすが逸樹姉さん。鋭いな。
花織というのは妹の名前。可愛い名前をしているのに凶暴な、自慢の妹だ。悲しいことに僕は花織に相当嫌われている。
ま、それは置いといて。
「そうです。実は花織の分の食パンが無くなってしまいまして」
「分かった。持っていくから自分の部屋で待ってろ」
ん?まあいいや。言われた通り自分の部屋で待ってよう。
お礼を言って自分の部屋に戻った。
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