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しばらく待っていると、逸樹姉さんは食パンを持って部屋に入ってきた。あと、何故か刀を持っている。
居合術をマスターしているから刀くらい持っているだろうけど、どうしてこの部屋に持ってきたのだろう。
「食パンを持ってきたがこれで良いか?」
「はい。でも、どうして刀を?」
逸樹姉さんが刀を持ち歩いていることなんて滅多にない。なんか、嫌な予感がする。
「食パンの礼に斬られてくれないか?心配しなくても怪我はしないさ。たぶん」
たぶんって…いや、そんなことよりも斬るのに怪我をしないってどういうことだろう。斬ったらどう考えても怪我はするし最悪死ぬだろう。
「正気ですか?」
いつも通りに見えるけれど寝ぼけているのだろうか?もしくは、実はさっきまで寝ていて起こされたことを怒っているとか。
「もちろん正気だよ。それに冗談で言っているわけでもない。ちょっと新技を試したいだけさ」
新技って…それで人を斬るとか小学生でもしないだろ。でも、そんなことを言ったら怒って本当に斬られそうだ。
仕方ない。逸樹姉さんを信じて斬られることにしよう。食パンを貰えなかったら妹に蹴り殺されることになって、死因が変わるだけだ。
はあ…朝っぱらから僕は何をしているんだか。
「分かりましたよ。でも、パジャマに着替えなおさせてください。新品の制服が斬られるのは嫌なので」
「たぶん大丈夫だと思うが…分かった、少年の心配もわかるし、少し待ってよう」
さて、面倒だけど着替えるか。新技がどんなのか分からないけど、危険じゃない技だと願っておくしかないだろう。
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