2013.3

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近寄って見てみると、それは壁を穿った穴からニョッキリと飛び出し、そそり立つ 長さ30センチぐらいの真っ黒いプラスチックのパイプ。 穿った穴も後処理されておらず、隙間からは外の光と隙間風が…。 「ね~ね~何これ?」 「ばいぶ」 (←パイプのアラビア語訛り。アラビア語にパ ピ プの音はありません) 「うん、それは分かるけどさー、何に使うの?」 「でんきのせん とおる ところ。」(電気の配線を通すらしい) 「これからまだ何か付けるの?」 「なにもツケナイよ」 「? じゃあ何でパイプ出てるの?」 「なんか つけるとき つかう」 「じゃぁ、何かつける時までこのまんま?ずっと使わないかもしれないのに?」 「そうよ」 「なにそれ。カッコ悪ーい。ここだけ可愛くなーい。」 「まー そんなもの」 (まーそんなもんだよ) せっかく可愛らしい部屋なのに、そこだけ何だかとっても目立ってしまう。 そして、ふと足元を見ると、カーペットが少し斜めになって壁との隙間が空いていた。 これもちょっと気になったので、直そうとしたら、今度は隣合う辺に隙間が空いた。 ???このカーペット真四角じゃないの? あっちこっち引っ張ってみても壁に沿わない。 ……違う。分かった。カーペットじゃない。部屋の角が直角じゃないんだ。 部屋の形が微妙に斜めになっているから、カーペットが壁にピッタリ沿わないんだ。 一方の壁にカーペットを沿わせると、もう一方は斜めに隙間が開いていき、 5センチは空いた所が出来てしまう。角にカーペットが届かない。 「これ見て。何かこの部屋曲がってるよ?」 「そうね。…図面だと ちゃんとまっすぐ けどね」 (そうだね。家の設計図だと、ちゃんと真っ直ぐになってるんだけどね) 「けどねって…そこ気にならないの?!それって、かなり大事なトコじゃないの??」 「まぁ だいじょぶヨ。ちゃんと いえ たおれてないダロー」 (まぁ大丈夫よ。家は ちゃんと建ってるだろ)
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