2013.3

5/10
前へ
/14ページ
次へ
…それもそのはず。何で食べても減らないかって、それはわんこそば状態だったから。 食べるソバから、キラキラ輝くようなお母さんの笑顔(連れ合いの顔と瓜二つ)と共に、 ご飯がどんどん追加されていた。 あまりに何度も盛られるので、さすがにもう十分、十分っとばかりに自分のお皿に向けて 手をフリフリっと振りながら、こちらも負けじとキラっキラの笑顔で 覚えたてのアラビア語を駆使し「ラー ラー シュクラン!」(No,no thank you!と言う感じ) とは言ってみたものの、お母さんたらちーっとも聞いちゃくれない。 更にご飯を追加しつつ、ピコッと片眉を持ち上げ、ニヤリと笑うお母さんの顔はまるで 「どおー?美味しいでしょー。遠慮しないでもっと食べなさ~い」と言っているかのようだ。 そんな攻防を尻目に、家族との再会にエキサイトしつつ、大音量でベラベラ話しながら、 猛烈な勢いでモリモリ食べていた連れ合いが、随分経ってからやーっと私の状況に気付き 「いらない いわない ずとゴハンおわらないよー」 (もういらないって言わないと、いつまでもご飯終われないよ) とニヤニヤしながら、お母さんの方にくぃっと顎をしゃくった。 …そういう事は 早く言ってくれないかい。 そしてもういっぱいいっぱいって事をだね、どうか母上に、君の口から伝えておくれよ…。 私のアラビア語は「はい」「いいえ」「ありがとう」ぐらいしか思いつかないのだからサ。 それにしても「お母さん」って人種の、ご飯どきの行動は、きっと世界中どこの国でも 大差ないんだろうなー…っと思った初ご飯のひと時だった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加