召喚

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 Y氏はこの世の災いを恐れながら、日々を過ごすことになる。いつ、どこで、壊滅的な終わりが訪れるかもしれない。急激かもしれないし、ゆっくりと侵攻しているのかもしれない。新聞やテレビで、そのキッカケを見逃さないように目を光らせていた。その兆候を発見することが、せめてもの償いなのだ。  ところが、いつまで経っても、この世に災いがもたらされることはなかった。新聞もテレビも、緊急事態を伝えることなく平穏な情報を流しているだけだった。 「どういう事なんだ?悪魔が嘘でもついたのか?いや、あの悪魔は張り切っていたから。嘘とも思えない」  何事もなく過ぎていく日々。モヤモヤした気持ちだけが、Y氏の心に残っていた。  ある時、Y氏はあることを思った。 (いや、もしかしたら、もうすでに起きているのかもしれない。疫病、災害、戦争、不景気。今の世の中、災いと呼べることは、常に起き続けている。それが、一つ増えたからといって、自分に関係がない内は、それを自覚することはできないだけなんだ)
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