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旭が好きだ
「…ん、…」
膝を付いたまま、ゆっくりと力を失った自身を抜けばブルリと震えた内腿
「楓」
無防備に下着ごとズボンを上げた旭に抱き込まれる頭
「………」
トクントクン。先程までの乱れが嘘のように動く心音は旭そのもので、楓を落ち着かせる
恋人では、ない
そもそも楓は旭と恋人になりたいと思った事がない。それは旭も同じだろう
「…旭」
二人は肉体以上に根っこから繋がっている。そう思えるからこそ、‘他人と同じ’が出来ない故に他人と一緒にいる事が息苦しい楓は、旭と一緒にいる時間が好きだ
そこに他を必要とする事はない
「んー?」
だけど
「楓?」
どうしてだろう?
「……………」
あの日から
「………何でも、ない…」
ちらつく影に苛立ちが募る
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