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「危ねー…」
あんなのに引かれたら自転車もろともグシャグシャになっちまう。
そう思ってまたチラリと振り返ったのもいけなかった。
「きゃ!!」
今度は目の前に若い女が立っていた。こっちも慌ててハンドルをきる。
避けられた…と思ったら、目の前に黒い猫が飛び出した。
「この!!」
なんだっていうんだ!次から次に!!
「あ」
最終的に目の前に迫ってきたのは広場の噴水だった。
この広場を通りすぎた角が職場なのに…
止まれない、そう思った。
よく言われる話だが、もうだめだ、回避できないと思ったとき物事が映画みたいにスローモーションで見えるという。
自転車が噴水の縁にぶつかってがちゃん、と倒れていく。
オレの手はハンドルを離れて前方へ。体が勢いに乗って噴水へ。
ウソだろ。こんなことって。
思考もゆっくりついてくる。
ブルーの水面が顔に触れたとき、オレの頭の中は真っ白になった。
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