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「私、一様に勝っちゃった?」
呆然としている私に手が差し伸べられる。
「強いな。……またやろう」
「一様!?」
それは一様の手だった。驚きながらもその手はしっかりと掴む。
一様の手は、手のひらの皮は厚く硬くなっている。剣士の手だった。
私、一様の手握っちゃったあああああああ!!
一人喜びに浸っていると何か忘れているような気がした。
あっ、私試合がまだあるんだった!
「橘、お前強いんだな。一を倒した上に三段突きまで使うとは……最後は総司とだ。いいか?」
「はい!やっと沖田総司に会えるんですね!」
ついにこの時がきた。ずっと好きだった沖田総司に会える時が。
目を閉じておじいちゃんに語りかける。
おじいちゃん、私沖田総司に会える時がきたよ。
きっと、物凄いイケメンで優しい人なんだろうね。
そんなことを考えながら目を開けて、私の前に立つ人物をみる。
色素の薄い短い髪に、色白の肌。目はぱっちりとしているが、かっこよさがある。
私の前にいたのは、私を引き摺ってきて、私を広間に捨てた男だった。私は土方歳三を睨んで言う。
「土方さん、沖田総司はどこですか?」
「お前の目の前にいるだろうが」
この性悪男が沖田総司……。
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