新撰組に来ちゃいました

8/12
前へ
/413ページ
次へ
「私、一様に勝っちゃった?」 呆然としている私に手が差し伸べられる。 「強いな。……またやろう」 「一様!?」 それは一様の手だった。驚きながらもその手はしっかりと掴む。 一様の手は、手のひらの皮は厚く硬くなっている。剣士の手だった。 私、一様の手握っちゃったあああああああ!! 一人喜びに浸っていると何か忘れているような気がした。 あっ、私試合がまだあるんだった! 「橘、お前強いんだな。一を倒した上に三段突きまで使うとは……最後は総司とだ。いいか?」 「はい!やっと沖田総司に会えるんですね!」 ついにこの時がきた。ずっと好きだった沖田総司に会える時が。 目を閉じておじいちゃんに語りかける。 おじいちゃん、私沖田総司に会える時がきたよ。 きっと、物凄いイケメンで優しい人なんだろうね。 そんなことを考えながら目を開けて、私の前に立つ人物をみる。 色素の薄い短い髪に、色白の肌。目はぱっちりとしているが、かっこよさがある。 私の前にいたのは、私を引き摺ってきて、私を広間に捨てた男だった。私は土方歳三を睨んで言う。 「土方さん、沖田総司はどこですか?」 「お前の目の前にいるだろうが」 この性悪男が沖田総司……。
/413ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1052人が本棚に入れています
本棚に追加