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そんな私を見兼ねた土方歳三が、コソッと話しかけてくる。
「あいつは近藤さんの前では良い子ぶってる。
口の悪い方が本性だ……」
「現実って厳しいんですね、豊玉さん」
「……お前、今日から一番隊隊士な」
落ち込んでいる私に、さらに追い打ちをかける言葉をくれた土方歳三。いつか句集を読んでやろうと思った。
みんなに声をかけて、土方歳三は話し出す。
「聞け!こいつは今日から一番隊隊士だ。異論はねぇな?」
「ぼ、僕は反対です!一番隊に女の子は要りません!」
「私だって嫌だし……。三番隊が良かったな~」
ボソッと呟いた私の言葉は、沖田総司に聞こえていたようで、足を思いっきり踏んづけられた。
「あっ、すいません。踏んじゃいました。大丈夫ですか?」
こいつ、白々しい!!
目を潤ませて謝る沖田総司。その様子を見て、近藤さんは良い子だなぁと言っていた。
幕末にきて早数時間。
大好きだった沖田総司が、大嫌いになりました。
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