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おじいちゃんが昔、話してくれた。
『桃は新撰組を知っているかい?』
『うん。たくさんひとを、きったひとたちでしょ?』
『桃。新撰組というのはな"人斬り集団"なんかじゃない。
彼らは誠を貫いただけなんだ。
中でも沖田総司は"天才"と謳われるほど、剣の才能があったそうだ。
そしてみんなから慕われていた。
でも、残念ながら結核で死んでしまったんだよ』
『けっかく……?
おじいちゃん!わたしも、おきたそうじみたいになりたい!
つよくて、したわれるひとになりたい!』
そう言うとおじいちゃんは、頑張りなさいと言って、頭を撫でてくれた。
それから十二年。
「一本!勝者、橘桃!」
わあっと歓声があがる中、私は相手に礼をして防具を取る。
橘桃、十七歳。
たった今、剣道の大会で優勝しました。
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