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「いいのいいの。きょうは小梅ちゃんの分まで、たっぷり亜美さんとおしゃべりして来るから。」
いつまでもばつが悪そうにしている小梅に、優海はわざとらしく言ってみる。
すると案の定、小梅はほっぺを赤くして食いついてきた。
「もぉぉう、わざわざ言わなくてもいいのにぃ。優海ちゃんのバカ!」
「あはっ、やっぱりムキになった小梅ちゃん。かわい~。」
「私だって、亜美さんに魔……」
言いかけて、小梅は一瞬言葉をつまらせる。周りの生徒たちが、こちらをちらりと伺うのが見えたからだ。
「……マジョラムの栽培とか教えてもらいたいのに!」
とっさに話を反らす小梅。優海も話を合わせる。
「へへ~、きょうの日替わりハーブティーは何かなぁ。楽しみだなぁ。」
そうこうしているうちに、二人は門をの前までやって来ていた。
塗り替えられたばかりの白壁の校舎と、エントランスにたたずむメタセコイアの大樹が、優海たちを出迎える。
二人はその大樹の横をぬけて、一年生用の昇降口へと向かった。
「きょうは授業終わったら、まっすぐ協会に行くから、続きはまた明日ね。」
「うん!亜美さんによろしくね。」
上履きに履きかえると、二人はいそいそと教室に向かった。
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