たんぽぽが丘魔法士協会

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に進むと、避暑地にあるペンションのような外観の、2階建てのおしゃれな建物に行き着く。  玄関先の看板には『たんぽぽが丘ハーブ協会』と書かれている。  木の扉をノックして、優海は元気よく中に呼びかけた。 「こんにちは~、亜美さんっ。」  けれども、どこからも返事がない。 「あぁみさぁぁぁん、こんにちはぁぁぁ!」  優海は声を張りあげてもう一度呼びかけたが、やはり返事がない。  変だなあ。立て札も『open』になってるし、鍵も開いてるのに……。  そのとき、優海の頭の中にいやな考えがよぎった。  もしかして亜美さん、強盗かなにかに入られて、身動きできないようにされてるんじゃ……。  どこにでも想像力のたくましい子はいるが、優海もそんな子のひとりだった。  かばんから、音楽用のリコーダーを取り出して右手にきっと握ると、優海はおそるおそる、ドアノブに手をかける。そしてゆっくりと扉を開け、その場から中をのぞき込んだ。  白い壁紙と、みがかれたフローリングの床で統一された建物の内側は、いつ見てもほんとうにきれいだ。  玄関の正面には受付があり、すぐそばに観葉植物の鉢植えが置かれている。  受付から右手は、窓がひとつの小部屋のようになっていて、ハーブや野草の本がずらりと納められた本棚、そして、草花の標本がはさまれたファイルが飾られた机が置いてある。
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