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家の外に張りだしたテラスのテーブルで、優海は庭園の花たちをながめながら、亜美さん特製のハーブティーを待っていた。
いま協会が建っているこの場所は、もともと亜美さんのお祖父さんが、漢方薬や民間療法をあつかう診療所として使っていたところを、息子である亜美さんのお父さんが、手作りのハーブを売ったりお茶をふるまったりするお店として30年ほど前に建て替えたのだと、優海はお母さんに聞かされたことがあった。
ここ十数年のブームのおかげもあって、お店はいつのまにか問屋さんや愛好家どうしが情報交換にあつまる『協会』になっていったらしい。
「おまちどおさま。」
10分もしないで、ティーポットとクッキー入りのバスケットを持った亜美さんがやってきた。
亜美さんは、小学校に上がる前からずっと協会のお手伝いをしていて、いまではお父さんからこの協会と仕事を譲りうけた、若き会長さんだ。
優海はよちよち歩きのときからおばあちゃんに連れられて来ては、よく面倒をみてもらっていた。
美人で優しくて物知りで。いまでも亜美さんは、優海にとって憧れのお姉さんなのだ。
「いただきます。」
優海は、カップに注がれたばかりの薄緑色のお茶を一口すする。
「……わぁ、すっきりしてておいしいっ。」
「ペパーミントティーに、レモン
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